急変時におけるクリティカルケアとは
記事執筆:
- 目次
クリティカルケア看護の歴史
クリティカルケア看護は、1969年にアメリカで誕生しました。(アメリカクリティカルケア看護師協会(AACN))その後、日本でもクリティカルケア看護の重要性が認識されるようになり、2004年に日本クリティカルケア看護学会(JACN)が誕生しています。
クリティカルケアとは、疾病や外傷、侵襲の大きな手術などで生命の危機に瀕している患者への看護のことです。「急性期」かつ「重症な」患者への看護のため、具体的には、ICUやCCU、救命救急センターで行われているような看護が、クリティカルケアと言えます。
しかし、今まではICUやCCU、救命救急センターだけでクリティカルケアが行われてきましたが、急性期の一般病棟や手術室、救急外来、在宅医療の場でもクリティカルケアの知識や経験が必要とされるようになってきています。
クリティカルケアは患者の年齢を問わず、重症集中看護、急性期看護、周手術期看護、救急看護、在宅医療、終末期看護にまでまたがって、幅広く使われる看護領域となっています。
クリティカルケアの看護師の仕事と役割
クリティカルケアが必要となる場面とは、患者は命の危機に瀕している状態です。そのような時、医師は患者の命を救うことに全力を注げますが、看護師は患者の身体的な問題だけを扱うのではなく、精神面や社会面の問題への看護も行います。また、クリティカルケアでは患者の看護だけではなく、その家族への看護も、とても重要になるという特徴があります。
患者の重症度は高く、命の危機に瀕しているために、異常の早期発見や全身管理の比重が大きくなります。しかし、基本的な看護師としての役割は、他の看護領域と同じで、看護の本質的な部分に変わりはありません。
- 異常の早期発見
- 患者の生命維持
- 生理的機能回復ための全身管理
- 苦痛の緩和
- セルフケア能力の回復
- 家族への支援
- 患者や家族の倫理的な擁護者
クリティカルケア看護のキャリアアップ
キャリアアップの方法には、
- クリティカルケア認定看護師
- 急性・重症患者看護専門看護師
- 救急看護認定看護師
(2020年よりクリティカルケア認定看護師へと名称変更) - 集中ケア認定看護師
(2020年よりクリティカルケア認定看護師へと名称変更)
があります。
クリティカルケア認定看護師
クリティカルケア認定看護師は2020年から新しく使われる救急・集中ケア認定看護師の新しい名称です。救急外来では集中治療室と同じく生命の危険度が高い患者のケアに当たるという観点から、集中看護と併合してクリティカルケア認定看護となります。将来ICUでも働けたり、指導的立場になったり、キャリアの幅が広がります。
重篤な状態にある患者の全身管理・身体所見からの病態の判断など救急看護に必要な知識に加え、人工呼吸管理とその調整・離脱の知識と技術、カテコラミン・降圧剤・電解質・利尿剤などの持続点滴の調整と安全な投与方法など、重篤化した患者の状態に不可欠な治療に伴う看護技術を包括的に学べます。
- 日本の国家看護師免許の保持者
- 臨床経験が通算5年以上の者
- 通算3年以上の救急部門での看護実績がある者
- 救急部門で、心肺停止・重症外傷・意識障害・呼吸不全・循環不全・薬物、あるいは、アルコール中毒・熱傷患者等の看護の中から5例以上の担当実績がある者
- 救急部門の現職者または勤務予定者
資格認定制度 >認定看護師|日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html
急性・重症患者看護専門看護師
急性・重症患者看護専門看護師は、日本看護協会が認定している資格で、日本におけるクリティカルケア看護の頂点の資格であり、クリティカルケア看護の専門家と言える資格です。2004年に「クリティカルケア看護」分野として特定されましたが、2007年に「急性・重症患者看護」と名称が変更されました。
急性・重症患者看護専門看護師になるためには、実務経験が通算5年以上(うちクリティカルケア看護での経験が3年以上)あり、看護系大学院の修士課程で、専門看護師教育課程基準の所定の単位(26単位または38単位)を取得する必要があります。修士課程を修了後、認定審査に合格して登録すると、急性・重症患者看護専門看護師になることができます。
資格認定制度 >専門看護師|日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cns/index.html
クリティカルケア看護は今後ニーズが高まる
クリティカルケア看護は、医療が進歩していく中で、今後さらにニーズが高まる看護領域と言えます。また、救急やICUなど医療施設内での勤務に止まらず、災害看護など外部でも非常に役に立つ知識・技術と言えます。
しかし、上記の資格を取得するためには時間と費用が掛かるのも事実です。
私たち、急性期ケア専門士は、より手軽に、より幅広く学べる資格となっていますので、ぜひチャレンジしてみてはどうでしょうか?
急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。
状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。
また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。
もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。