Onsetを意識した臨床推論~胸痛・浮腫~
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2025年12月16日(火)PROto「Onsetを意識した臨床推論~胸痛・浮腫~」を開催しました。
講師
北海道大学大学院 医学院 医学専攻
内科系 内科学講座 循環器内科学教室
医員
上原 拓樹 先生

セミナー概要
今回のPROtoでは、循環器領域を専門とする上原拓樹先生をお迎えし、
「Onset」を軸にした臨床推論について、胸痛と浮腫という日常臨床で遭遇頻度の高い症状を題材に学びました。
400名を超える申込者のうち約9割が看護師で、急性期病棟だけでなく外来・在宅・施設など、さまざまな現場で働く方が参加されました。
講義では、
症状の出現の仕方(突然か、徐々か)
時間経過と重症度の関係
解剖・病態・緊急性を整理する思考プロセス
を繰り返し強調しながら、「なぜその症状が起きているのか」を考える道筋が示されました。
参加者の学びと気づき①
「Onsetを意識するだけで、問診の質が変わる」
アンケートで最も多く挙がったキーワードは、やはり「Onset」。
「普段なんとなく聞いていた“いつから”を、ここまで重要視していなかった」
「Onsetを意識することで、緊急度の判断がしやすくなると感じた」
「問診だけで8割の診断がつく、という言葉が強く印象に残った」
といった声が多く寄せられました。
特に胸痛に関しては、
「とりあえず心筋梗塞を疑う」
「検査結果が出るまで様子を見る」
といった“思考のクセ”に気づいた参加者も多く、Onset × 症状 × 時間軸で整理する重要性を再認識したという意見が目立ちました。
参加者の学びと気づき②

「胸痛=心筋梗塞、ではない」
講義では、致死的胸痛として常に除外すべき疾患を整理したうえで、
検査が正常でも否定できないケースや、一見すると循環器に見えない原因についても丁寧に解説されました。
「心電図や血液検査が正常でも安心できない理由がよくわかった」
「胸痛の鑑別を“覚える”のではなく、“考える”視点が得られた」
「医師が何を考えて次の検査を選択しているのかが理解できた」
といった感想から、医師の臨床推論を共有できたことが、看護師にとって大きな学びになったことがうかがえます。
参加者の学びと気づき③
「浮腫の見方が変わった」
後半の浮腫パートでは、
両側性か片側性か
静水圧・浸透圧・全身性疾患の視点
左心不全と右心不全の違い
といった基本を、症例を通して整理しました。
参加者からは、
「浮腫=心不全と短絡的に考えていた自分に気づいた」
「左右差や経過をもっと丁寧に見ようと思った」
「“変な右心不全”という言葉が頭に残った」
など、日常観察の視点が広がったという声が多く寄せられました。
外来・施設・在宅など、急性期以外の現場で働く看護師からも、
「明日からの観察にすぐ活かせそう」という実践的な評価が見られました。
“考える看護”につながる臨床推論
上原先生は講義の中で、
「症状・Onset・解剖・病態を結びつけて考えることが、臨床推論の基本」
と繰り返し伝えられていました。
参加者からも
「医師への報告の仕方が変わりそう」
「トリアージや急変時対応の考え方が整理できた」
「“なぜそう思ったのか”を言語化できそう」
といった声が多く、看護師としての判断力・説明力を高める学びになったことがうかがえます。

まとめ
今回のPROtoは、「Onsetを意識する」という一つの視点が、胸痛・浮腫という複雑で判断の難しい症状を整理する強力な武器になることを実感できるセミナーでした。
検査や数値に頼る前に、
「いつ、どのように始まったのか」
「時間経過とともにどう変化しているのか」
を丁寧に捉えること。
その積み重ねが、見逃しを防ぎ、より安全な看護実践につながります。
日本急性期ケア協会では、急性期ケア専門士をはじめとする医療職の皆さまに向けて、
現場で“すぐ使える臨床推論”を学べるセミナーを今後も継続して開催してまいります。
急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。
状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。
また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。
もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。



