脳卒中の前兆を見極め、治療につなぐ【PROto】
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急性期セミナー「PROto」について
今回、初となる急性期セミナーPROtoを開催いたしました。
PROtoの目的はセミナーを通して「プロのHOW TOをプロから届ける、そしてプロに近づく」。
急性期ケアのプロフェッショナルから、教科書では書ききれない現場での知識をお届けしていきます。
講義概要
講師:長崎労災病院副院長 脳神経外科 北川直毅先生
司会:日本急性期ケア協会代表理事 與賀田洋先生
日時:2024年2月15日
セミナー:「Time is Brain ~脳卒中の前兆を見極め、治療につなぐ~」
講義では、脳卒中の前兆を見極める重要性や、大切なポイントなどを教えていただきました。
脳卒中に苦手意識を持つ人もいると思いますが、科は違っても脳卒中を発症するリスクはどの患者さんにもあります。今回の講義では、脳卒中の病型の変遷や、検査・治療・観察など、すぐに臨床に活かせる多くのポイントを学ぶことができました。
前半講義
脳卒中の統計
脳卒中の種類
脳卒中とペナンブラ
脳卒中の最新治療
rt-PA静注療法 など
前半の講義では、脳卒中の治療、特に脳梗塞の急性期に対するrt-PAでの血栓溶解療法やカテーテルを使用した機械的血栓回収療法など、新しく確立された治療法についても学習しました。「脳梗塞とペナンブラ」では、脳梗塞の前兆を見極めることが治療につなげる重要なスキルであることを学びました。
後半講義
脳卒中の連鎖(7つのd)
病型と症状
PSLS(脳卒中病院前救護)
状況評価
後半の講義では、脳卒中の前兆にどのように気づき、治療につなげていくのか、脳卒中の評価のポイントについて学びました。
- 状況の評価とABC(+体温)
- 意識障害の原因と病態の把握
- ・意識レベルの評価、瞳孔所見
- ・ドロッピングテスト(患者さんに目を閉じてもらうことがポイント)
- ・立膝テスト
- 巣症状の把握 CPSS(シンシナティ病院前脳卒中スケール)
- 病態を把握しファーストコール
まとめ
「Time is Brain」という言葉があるように脳卒中の治療では時間が重要です。早期発見、早期治療のためには、まず脳卒中の前兆に気付くことがとても大切です。
- 顔面麻痺を観察する時は鼻唇溝の左右差などをチェックする
- 上肢の時は目を閉じてもらう
- 指先も揃えて伸ばすようにすると軽度の麻痺もみつけやすい
治療については、脳梗塞に対するカテーテル治療やrt-PAを24時間行っている病院がどこにあるかを日頃から確認しておくことが、いざというときの早期治療につながることを教えていただきました。
北川先生のご講義は、受講生の皆さんのケアを、患者さんやご家族の幸せに、より一層貢献できるものへと導いてくださる。そんな実りのある充実した時間となりました。
受講者の感想
- 今回のセミナーで初動のポイントがつかめました。「脳梗塞とペナンブラ」については初めて学ぶことができました。
- 発症時の観察の重要性を再確認できました。また他施設の話も聞けたのも良かったです。
- 脳神経外科の経験がなく難しい内容もありましたが、救急外来での診察を行うのにとても勉強になりました。
- アブレーションやカテーテル検査後の脳血管疾患が多いので注意して観察していきたいと思いました。
急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。
状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。
また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。
もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。