在宅看護における急変対応③(多職種連携)

2025年6月4日 ライブラリー

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24時間対応の往診医がいるか、いないかで対応が変わる

訪問看護の利用者には、訪問看護指示書を記載する主治医がいます。しかし、利用者全員の主治医が「24時間往診対応できる医師」であることは少ないと思います。

例えば、「がん末期」「特定疾患」などの疾患の場合は、24時間往診できる在宅医がいることがほとんどだと思います。しかし、それ以外の利用者の主治医は、基幹病院に在籍している、またはクリニックの医師で、日中しか対応できないことが多いです。そのため、24時間対応してくれる医師のいる入院中の患者とは異なり、在宅で生活している利用者の急変時の対応は、誰に、どこに連絡するかを順序立てて行う必要があります。

24時間対応の在宅医の場合

急変時、自宅で処置する場合も救急搬送する場合も、在宅医に連絡して相談し指示を仰ぐ。臨時往診も可能で、在宅医が自宅で処置、家族への説明を行う。また、救急搬送症例の場合、救急隊や搬送先の医師との情報共有も、在宅医から行う場合もある。救急搬送され入院となった場合には、担当ケアマネジャーにも報告する。

24時間対応不可の場合

急変時、平日の日中の場合は、訪問看護師が処置を行いながら、家族へ状況を説明し、主治医に連絡して対応を検討する。

かかりつけが基幹病院の場合

地域連携室または、代表電話に連絡して外来担当者に状況を伝え、主治医などに繋いでもらい指示を確認する。

かかりつけがクリニック等の場合

平日の休診日や、午前の診察が終わり休憩時間になると連絡が付きにくい場合もあるため、時間外の連絡先を確認しておく必要がある

夜間・休日に救急搬送が必要な場合

基幹病院がかかりつけの場合、その旨を救急隊に伝えて搬送を依頼する。クリニックの場合は、時間外の連絡が可能な主治医であれば、状態を報告し救急搬送が必要な状態であることを伝え、クリニックが連携している病院または、それ以外の救急受け入れ病院へ搬送を依頼する。

時間外の連絡ができない主治医の場合は、本人・家族の希望を聞きながら、搬送先を検討し救急隊に依頼する。(主治医に報告できずに救急搬送された場合は、翌日には必ず、どこに搬送されたか、その後の経過を報告する。ケアマネジャーにも報告する。)

多職種連携をスムーズに行うために心がけておくこと

前項で述べた連絡方法は、おそらく地域や医師によって方法は様々であると思います。しかし、急変時や治療を急ぐ場合、主治医や、その他の多職種の方々とスムーズに連携するためには、日頃から心がけておくことがあります。

利用者と家族は急変時の処置をどのように希望しているか

利用者全員にDNARについて確認するべき、ということではなく、もし、体調が急変した場合には、救急搬送症例になるか、自宅で過ごす症例になるかを、頭の隅に置いて、日々のケアを行うということです。

主治医は、24時間対応できる往診医か

利用者全員の主治医を覚えるのは難しいため、体調が変化している利用者の場合は、一度確認しておくと、慌てずに対応ができると思います。関わるスタッフと情報共有しておくことも大切です。特に介護保険で介入している利用者は、ケアマネジャーと密に情報共有しておくとスムーズに対応できます。

「顔の見える関係性の構築」

基幹病院の外来スタッフ、地域連携室スタッフ、クリニックのスタッフ、ケアマネジャー、リハビリスタッフ、介護職、デイサービスやショートステイのスタッフ、入浴担当者、宅配弁当のスタッフなどの多職種の方々と、できる限りの情報共有(サービス担当者会議や計画書・報告書だけのやりとりだけでなく)を行いましょう。訪問時に多職種の方とたまたま出会ったとき、ケアマネジャーの所属施設に挨拶に行くとき、情報共有ノートでのやり取りなど、常に顔の見える関係性を作る気持ちを持って関わることはとても大切です。


<参考文献>

一般社団法人日本急性期ケア協会
急性期ケア専門士 公式テキスト

全国在宅医療マネジメント協会
在宅看護指導士 公式テキスト

資格取得後、アプリ「ココリンク」では医療講義動画を視聴できます。

急性期ココリンク

 

 


急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。

急性期ケア専門士とはHP画像

状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。

また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。

もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。

 

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