日本急性期ケア協会について

代表理事の
あいさつ

與賀田理事

急性期ケア協会の代表理事であり
日々救急の現場に勤務している與賀田理事に、きっかけや協会への想いについて伺いました。

救急の現場で働く中で心に残っているのは
「助けられなかった人」たちのこと

救急看護に携わるようになったきっかけを教えてください。

ずっと看護の道に就いていたわけではなく、大学は一般の国立大学に通っていました。
その後、縁あって看護学校に通い始めたのが30歳の時でした。
看護師として働いている25年のうち、20年間は救急領域に携わっています。
これまでは主に二次救急病院での救急外来、カテ室、手術室、HCUなどの勤務経験があります。

院内外で新人の救急看護教育や訪問看護師への急性症状に対するアセスメントの研修などにも携わっています。
2012年に救急看護認定看護師の資格を取得し、各種学会主催のシミュレーションコースのインストラクターとして活動しています。
また、院外においてNPO法人N4を立ち上げ、夜間の健康電話相談事業にも取り組んでいます。

今までの看護経験で様々な経験をされてきたかと思いますが、救急領域で働いてきた中で特に印象に残っていることはありますか?

救急の世界に入ってから印象に残っているのは「助けることができなかった患者さん」たちのことです。
治療室に運ばれてきた時はまだ心肺停止ではない状態で搬入されてきた人が、まさに目の前で心肺停止状態になってしまうこともあります。
後日ふと、その時のことを考えると「あの時、何かできなかっただろうか、どうしたら救えていただろうか」と思います。
そう思う度に、「救いたい」という気持ちが強くなります。

救急の現場では、救命した患者さんやその周りの方から感謝されることはあるのでしょうか?

ほとんどありません。
救命後の病棟の看護師の方が印象に残っているのだと思います。

例えば、心肺停止状態で運ばれてきた場合だと、その患者に携わる時間は、我々が急変対応をしてから病棟に移るまでの1時間弱程度の時間のみです。あまり対応した方のお声を聞くという機会はありません。
たまに患者さんが病院に定期受診に来院された際、「お世話になりました」と声を掛けていただけることがあります。

「急変対応に不安を抱える人」の力になれる協会でありたい

協会に携わるうえで、與賀田理事が大切にされているポイントは何ですか?

看護師でもそれぞれに得意分野があって、急変対応が苦手な人もいれば得意な人もいます。
急変対応が必要な状況が得意な人の下で必ず起こるのであれば良いのですが、必ずしもそうとは限りません。
そこで発信していきたいのが、急変対応を得意とする私たちのノウハウのうち押さえておきたい知識・感覚のポイントです。
全てのスキルを習得するのは難しくても、そのエッセンスを押さえておくことで、学ぶ方の役に立つのでは考えています。

自らのノウハウを伝えたいと思ったきっかけはありますか?

認定看護師として働いている時、訪問看護師の方に向けて研修をする機会が増えたことです。
一見、急性期と訪問看護は別の領域ではないかと思えるかもしれませんが、訪問看護では訪問先で起こる全ての事柄をほぼ一人で判断しなければならないという状況があります。
そういった点において、私が普段救急で行っているアセスメントのノウハウを伝えるのは非常に役に立つと肌で感じました。
私たちが持っている救急のノウハウを救急以外の一般病棟や訪問看護に携わる方々へも発信していきたいと思ったのはそれがきっかけです。
急変対応が苦手だという看護師の声も良く聞きます。
そういった看護師の力になれる協会でありたいと思っています。

笠原正登教授

急変対応を指導されるうえで気を付けていることはありますか?

「病名よりもまず緊急度の判断が正しくできるか」の大切さを最優先に伝えたいと思っています。
急変が起こった時にはどうしても、真っ先に「病名が何なのか」を考えることが多いのではないでしょうか。もちろん、医療機関ですので、診断を正しく付けて治療を行うのは大切です。
ただ、救急に携わるうえで私がそれよりも大切にしなくてはならないと思うのが「緊急度の判断ができるか」です。
簡単に言うと、患者の状態が「やばいのか、やばくないのか」。その判定です。
もし「緊急度が高い(やばい)」のであれば、病名がどうであれ緊急を要するため、一刻も早く対応しなくてはなりません。
一方、「緊急度が高くない(やばくない)」のであれば、しっかりと診断をし、治療を進めるのがよいと判断できます。

救急専門の施設ではない場合、救急で使用する専門的なツールが無い状況でも急変は起こります。
そんな場合「どうやって緊急度のアセスメントを行うか」「その後どう動くか」を早く正しく判断するノウハウを受講者に伝えるようにしています。

命を救う「急性期ケア専門士」

これから急性期ケア専門士を目指される方に向けて、メッセージをお願いします。

急性期ケア専門士では、「命を救いたい」というあなたの想いを実現させるために必要なことを学びます。
テキストでは、救急のプロが執筆した内容を知ることができます。
また、資格取得後も、合格者限定の講義動画やセミナーを視聴できるようになっており、救急の「今」をアップデートし続けられる仕組みを用意しています。今後も新たな取り組みを行っていく予定です。
特に急変対応に対して苦手意識を感じられている方には、ぜひ一度テキストを手に取って見てほしいです。
臨床の場ですぐ活用できる内容を込めたつもりですので、現場で急変に当たった時役立ててほしいと思っています。

急性期ケア専門士向けセミナーの様子

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