おさえるべき窒息の解除方法

2024年8月13日 ライブラリー

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目次

 窒息のサイン

気道に異物が詰まることを「窒息」と言います。

さらに窒息は「軽度の窒息」「重度の窒息」に分けられます。

 

軽度の窒息

軽度の窒息は、自力で力強い咳ができる、いわゆるむせた時です。

 

窒息時の対応
  • 介助者は強い咳を促す
  • 背中をたたく

重度の気道閉塞の徴候が見られるようになった場合は、救急対応システムに連絡・重度の窒息解除を実施しましょう。

重度の窒息

重度の窒息は、親指と人差し指でのどをつかむ「万国共通の窒息のサイン」を示すことが多いです。

その他、重度の窒息のサインとして

  • 話ができない
  • 全く咳ができない
  • 息を吸うときの甲高い音がする
  • 呼吸困難
  • チアノーゼ

などがあります。窒息が重度であれば直ちに窒息の解除を試みましょう。

重度の窒息の解除法

成人または小児への窒息解除の方法

重度の窒息患者に対し、反応がある場合はハイムリック法(腹部突き上げ法)または背部叩打法を行います。

ハイムリック法

①窒息の確認
②助けることを伝え患者の背中側にまわる
③患者の腰のあたりから手をまわし患者の腹部の前で拳をにぎる
④もう片方の手で拳を握り患者のへそより上、剣状突起から離れた腹部に当てる
⑤拳に力を込めて勢いよく引き上げ腹部を突き上げる
⑥異物が出るか患者が意識をなくすまで続ける

背部叩打法

患者の左右の肩甲骨の中間あたりを手掌基部で力強く叩く

異物が取り出せたら、腹部を強く圧迫したことによる合併症が生じてないか、メディカルチェックを行いましょう。
また、処置の途中で患者の反応がなくなった場合はCPRを行います。
窒息の解除を行っても「異物除去が困難」だと思えば救急通報をしましょう。

胸部突き上げ法

妊婦や肥満の為、腹部に手がまわらない場合は、胸部突き上げ法を行います。
圧迫部位はCPRの問と同じく胸骨の下半分です。
ハイムリック法と同じ手順で行いましょう。

フィンガースイープ

口腔内に異物が見える場合には、可能なら指で異物を取り除きましょう。
しかし、盲目的にフィンガースイープを行うことは推奨されていないので、目視で確認できる時のみにしましょう。

乳児の窒息解除

窒息は乳児にも起こりえます。
反応のある乳児に対しては、ハイムリック法ではなく「背部叩打法」「胸部圧迫法」を5回ずつ交互に行います。

背部叩打法

①乳児をうつ伏せにし、乳児の胸部を救助者の前腕に乗せ、頭部と下顎を手で支える
②乳児の頭部が胸部よりやや下になるように支える
③救助者は反対側の手の手掌基部で乳児の肩甲骨の間を強くたたく(異物が出るほどの力です)

胸部圧迫法

①乳児の顔を上に向けて抱き、背部を救助者の前腕に乗せ、手のひらで後頭部を支える
②乳児の乳頭間線のすぐ下、胸骨下半分の位置を胸骨圧迫の2本指法と同様にして胸部を突き上げる
③1回1秒のテンポで実施する

背部叩打法を5回行ったら、胸部圧迫法を最大5回行います。
これを異物が排出されるまで、または反応がなくなるまで繰り返します。
乳児が泣き出せば異物が取れた可能性があります。
乳児も早めに救急要請を行ってもかまいません。
反応がなくなったらCPRを行いましょう。

実例からみる子供の窒息

Aさん
(看護師・女性35歳)

 

休日に自宅で娘(5歳)とすごしていました。
娘は飴玉をくわえてTVゲームに夢中でした。

ふとした瞬間「声がしないな?」とAさんは思い、娘に声をかけました。
振り向いた娘は、苦しそうな表情で両手を首に当てて、顔が真っ青でした。Aさんはすぐに完全窒息と考えました。そして娘を抱え上げ膝に乗せ、背中を強く数回たたきました。

すると口からコロンと飴玉が取れ、娘は泣き出しました。
正しい手技ではありませんが無事に事なきを得ました。

本来ならば異物は咳によって出されます。
しかし、窒息では咳を作ることができないので、圧迫やたたくことで胸腔内圧を瞬間的に高めます。
ハイムリック法も背部叩打法も胸部圧迫法もすべて「人工の咳」を作っているということです。

 

 


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