もしかして脳梗塞かも?脳を救え!②

2024年12月17日 ライブラリー

記事執筆:

目次

脳梗塞かもしれない方を発見した時の観察方法

脳梗塞の治療の基本

脳梗塞かもしれないという人を発見した時、何をどのように観察しますか?

脳梗塞での治療でまず押さえておかなければならないのは、「脳ヘルニアを見逃さない」ことと「脳組織の壊死部分を最小限に抑える」こと、この2点です。

脳組織の壊死部分を最小限に抑えるには、一秒でも早く治療につなぎ、脳血流を再開させる必要があります。

緊急性の判断ポイント

緊急性の判断ポイントを下記にまとめます。

  • 第一印象の観察

    話が出来るか、表情はどうかなど

  • A(気道)B(呼吸)C(循環)D(意識レベル)E(体温)の確認

例)

「お名前が言えますか?」

「ここはどこか分かりますか?」

「生年月日が言えますか?」

しかし、患者に「失語症」がある場合は、会話でのやり取りが難しいことから次の観察が困難になります。注意しましょう。

  • 意識レベルの低下
  • 難聴
  • 言葉が分からない
  • 呂律困難

追加情報を集めよう!

下記の項目を確認し、追加で必要となる情報を集めましょう。

    • バイタルサインの確認

      バイタルサインの確認血圧の左右差が無いか、脈は両手でチェック

    • 顔面神経麻痺の有無

      例)「笑ってみてください」

    • 呂律困難の有無

      例)「ぱぴぷぺぽが言えますか?」

    • 意識レベル(AIUEOTIPS)、麻痺の有無、瞳孔・対光反射、目の見え方・動かし方
    • 頸部硬直の有無
    • 脳ヘルニアのサインが無いか

      GCS合計8点以下、2点以上の低下、JCSⅡ-30以上、瞳孔不同・片麻痺・クッシング現象:高血圧を伴う徐脈

    • 薬剤の内服歴の確認、高血圧・心房細動・脂質異常症など脳梗塞の原因疾患の有無
    • 同様の症状の発症歴(SAMPLE法)
    • 低血糖の有無

      血糖測定器がある場合

    • 発症時間の確認

      「最後に元気だった時間」の確認

    • CPSS(シンシナティ病院前脳卒中スケール)、ELVOスクリーン、NIHSS、MMTで評価

      脳卒中が疑われる場合

救急外来での対応

検査時のポイント

脳梗塞治療の基本は「脳動脈に詰まっている血栓や塞栓子を溶かして、一秒でも早く動脈血流の再開をする」を目指しています。そのため、血液をサラサラにすると悪化するような疾患が隠れていないかも、同時に評価していく必要があります。

例)

バイタル測定時
⇒血圧の左右差の有無、両橈骨動脈触知、左麻痺は要注意

頭部CT
⇒脳出血などの出血疾患の評価

頸動脈エコー・胸腹部造影CT・または胸腹部レントゲン
⇒大動脈解離の評価

本人から情報が聞き取れない場合も多いため、救急隊からの情報を確認しましょう。

救急隊からは「現場の状況」「バイスタンダーの対応」「救急車内での容態の変化」「患者の身元」などを先に確認しておくと、より早く対応できます。また、ご家族からも情報を集め、健常時との差を評価していきます。

家族対応

救急外来では,ご家族も突然のことで動揺されている場合が多いです。情報を聞き取る関わりだけではなく、精神面のサポートも必要となります。

一度だけではなく、何度かタイミングを見て声をかけに行きましょう。

例)

「突然のことで驚かれましたね。今、色々と検査を進めていますのでご安心ください。もし、他に来られるご家族がいらっしゃったら、連絡しておいていただけますか?」

「今、採血や必要な検査を行っています。この後、画像検査に向かいますので、こちらでお待ちくださいね」

また、いま患者がどのような状況で何をしているかを伝えることで、家族が今後の見通しを立てやすくなり、何をしているのかわからないという不安や心配を和らげることができます。

病棟での対応

CPSSで脳卒中が疑われたらすぐに医師やリーダーに報告しましょう。みなさんの「いつもと何か違う」のカンは当たります!

RRS(院内迅速対応システム)・RRT(院内迅速対応チーム)があるところでは、院内規定に沿って報告をしましょう。

一方、自施設がPSC(一次脳卒中センター)やPSCコア(常時機械的血栓回収療法が行える施設)でない場合は、搬送の可能性も視野に入れておく必要があります。

また、大部屋でステーションから遠い部屋の場合は、可能な限りステーション近くの処置ができる部屋などに移動しすぐに対応ができるようにします。モニターも装着しておきましょう。医師とも情報を共有し、タイミングをみてご家族への連絡も行いましょう。

病院からの電話はご家族にとって大きな不安を与える場合があります。意識して落ち着いて伝えるようにしましょう。電話での声のトーンは少し落として、ゆっくり話します。

例)

「突然のお電話で申し訳ありません。〇〇様の体調が変化しており、検査が必要となっています。申し訳ないのですが、病院の方に来ていただくことは可能でしょうか?」

「慌てずに、病棟の方までお越しください」

夜間・休日の場合は、夜間休日入口の受付の方にも連絡をしておき、家族がスムーズに病棟に来られるように配慮しておきましょう。

<参考文献>

急性期ケア専門士 公式テキスト|第1版
日本急性期ケア協会

病気がみえるVol.7|第1版
脳・神経 メディックメディア

これならわかる!救急・急変看護の基本|初版
ナツメ社

Time is Brain 脳卒中患者を救え!~脳卒中「8つのD」を紐解く ~
日本急性期ケアセミナーPro to

前回のブログもぜひご覧ください。

前回のブログはこちら
もしかして脳梗塞かも?脳を救え!①

 

 


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