この検査結果、信じて大丈夫?~検査にまつわるキーワードを解説!~第3弾
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2025年10月24日(金)PROto「この検査結果、信じて大丈夫?~検査にまつわるキーワードを解説!~第3弾」を開催しました。
講師
薬師寺慈恵病院 院長
救急医
薬師寺 泰匡 先生

本シリーズ最終回となる第3弾では、薬師寺泰匡先生による「検査結果を正しく理解し、臨床にどう活かすか」というテーマの集大成が行われました。
講義では、「検査値は真実のすべてを語らない」という視点のもと、血液ガス・生化学検査を中心に「肺炎なのか、肺炎じゃないのか?」という臨床的判断のプロセスが解説されました。
参加者の学びと気づき:「数値を“読む”から、“考える”へ」
多くの参加者が「検査値を見て安心する」ことから「なぜその値なのかを考える」姿勢へと変化したと答えています。
「AST・ALTを“肝機能”とまとめて考えていた自分に気づきました。肝細胞障害の指標であると理解し直せました。」
「高Cr・高BUN=腎障害と短絡的に考えていたが、腎外因子の視点を学べた。」
「CRPが高い=感染とは限らない。検査の限界を知ることが大切。」
といった声が寄せられました。
また、「陰性だからといって否定できない」「検査は万能ではない」というメッセージに共感が集まり、
「“絶対”という言葉を使わない先生の言葉が印象的でした」
「結果はあくまで材料。その解釈が臨床判断を左右する」
といった意見も多く見られました。

現場で生かす“検査×思考”の視点
セミナーでは、肺炎を疑う症例を題材に、血液ガス・BUN/Cr・電解質など複数のデータから病態を多角的に推論する流れが示されました。
特に印象的だったのは、「レジオネラ肺炎を疑う」症例提示。
低Na・高CKという特徴的な数値の意味、尿中抗原検査の限界、臨床的疑いの継続などが具体的に解説され、「データを点ではなく線で見る」重要性が伝えられました。
参加者からは、
「検査オーダーの背景や考え方を理解できた」
「検査の意味をチームで共有したい」
「検査値の“読み方”ではなく“使い方”を学べた」
などの声が多く寄せられ、現場実践に直結する学びとなりました。
シリーズを通しての成長
第1~3弾を通じて、参加者の多くが「検査データを疑う」「なぜを考える」「結果を鵜呑みにしない」という共通の意識変化を感じたと答えています。
「データを見る目が変わった」
「検査結果を自信をもって説明できるようになった」
「日常の“当たり前”を疑うきっかけをもらえた」

まとめ
薬師寺先生は講義の最後に、
「検査は“結果”を見るためのものではなく、“考える”ためのもの。
その数値の意味を読み解ける人が、臨床をリードしていく」
と語られました。
セミナーを通じて、看護師をはじめとした参加者は、検査値の“背景”を考え、
臨床判断力を磨くための確かな一歩を踏み出したといえるでしょう。
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