緊急度判定「これはやばい!」をキャッチする!①~体系的アプローチとは~
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体系的アプローチとは?
患者さんが急に
「胸が痛い」
「呼吸が苦しい」
「頭痛の訴えの後、意識レベルが下がった!」
などの症状を起こしたらどうしますか?
すぐにDrを呼ぶ、リーダーに報告、在宅や施設なら救急車を呼ぶか、もう少し様子を見て大丈夫か、そもそも原因は?などいろいろと考えながら対応するかと思います。
このような時、活用できるアセスメントとして「体系的アプローチ」をご紹介します。
体系的アプローチは、私たち救急看護師が普段救急患者のアセスメントとして活用している手法です。
体系的アプローチによる評価
体系的アプローチでの評価は、以下の4段階に分かれます。
第一印象
一次評価
二次評価
三次評価
各段階で患者を評価し、状態や緊急度を認識します。そして認識に基づいて、安定化のために行動します。
行動したら患者の状態がどうなったかを、再評価・再認識し、必要に応じて再行動することで、適切な評価と患者介入を行うことが出来ます。
第一印象
文字通り、患者に接した数秒間で行う評価です。患者の外観(意識状態)、呼吸、循環(顔色)をさっと評価し、緊急度を認識します。
患者さんが「いつもと違う」は急変の前兆かもしれません。
一次評価
一次評価ではバイタルサインの測定も行いながら、酸素循環に沿って、「気道」「呼吸」「循環」「中枢神経」「体温・外傷」を評価します。
(これをABCDEアプローチとも言います)
一次評価は生理学的評価で、患者の緊急度(やばいか、やばくないか)を把握することが重要です。一次評価で生命を脅かす異常を認めた場合は、即介入して状態の安定化に務めます。
二次評価
二次評価は解剖学的評価で、問診と詳細な全身観察を実施して原因検索を行います。ただし、一次評価で緊急度の判断と状態の安定化をきちんと実施した後に行うことが重要です。問診では「SAMPLE」や痛みの問診では「OPQRSTT法」などツールを活用することで、抜けが無い問診を実施することが出来ます。
三次評価
三次評価は主に病院で行う検査のことです。採血やレントゲン、超音波検査、心電図などがあります。二次評価で問診・全身観察で得られた情報から、症状・病態を考慮した検査の準備を進めておく事が必要です。また、三次評価は一次・二次評価が終わった三番目に実施する評価というわけではありません。例えば一次・二次評価を進めながら患者の状態からACS(急性冠症候群)を疑ったのなら、一次評価の途中で十二誘導心電図を検討しても良いでしょう。
この体系的アプローチを活用することで、患者の「やばい」や「急変の前兆」を把握していきます。
最後に
「何か変」「いつもとちがう」に気づくこと、観察したことを言葉にできること。
初期対応の基本は、学ぶことで習得できます。
次回から5回に分けて、気道・呼吸・循環・中枢神経・体温/外観の緊急性の見極め方、そのコツについてお伝えしていきます!
この体系的アプローチの核である一次評価「ABCDEアプローチ」について詳しく見ていきましょう。
次回は、「これはやばい!」をキャッチする!~気道の評価~です。
主に、いのちの危機を救う『気道』の異常の評価についてお伝えしますので、ぜひご覧ください。
急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。
状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。
また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。
もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。