緊急度判定「これはやばい!」をキャッチする!③~呼吸の評価 編~
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「何か変」「いつもとちがう」に気づくこと、観察したことを言葉にできること。
初期対応の基本は、学ぶことで習得できます。
緊急性の見極め方、そのコツについて皆で学ぶ『緊急度判定』シリーズ。
第3回は「呼吸の評価」についてお伝えします。
- 目次
呼吸の評価はSPO₂??
呼吸を評価する際に、「とりあえずSPO2」と考えて測定していませんか?
緊急の判断の1つとしてSPO₂を測定することは確かに役に立ちます。
しかし、SPO₂だけでいいでしょうか?
おそらく皆さんも、呼吸回数や呼吸努力の有無、皮膚の色や肺雑音の聴診などをしているのではないでしょうか。
皆さんが実践している、これらすべては呼吸を評価する指針になります。
少し深く考えてみましょう。
呼吸の評価の注意
私たちの呼吸は自身の意思によって、速さや深さを変えることができます。
よって、「今から呼吸を測定します」と伝えるのはもちろんナンセンスです。
他の観察を行いながら、呼吸を評価することができればベストです。
もちろん血液ガス測定にはかないませんが、看護師の評価できる範囲で呼吸状態が緊急なのか?を判断する事ができます。
いのちの危機を救う『呼吸』の異常の評価
呼吸の危機は、患者さんにとって非常に強い恐怖を伴います。
私はSPO₂測定器をつけて息を止めてみました。
精一杯息を止めてSPO₂の値を80%まで下げることができました。(危険ですのでマネはしないでください)
SPO₂ 80%の世界は目の前が歪み、頭がぼーっとして生命の危機を感じたことを覚えています。
呼吸の異常はとても怖いです。
なので、呼吸の異常の評価は、素早く観察し認識し対応することがとても大事です。
呼吸の破綻は生命に直結しています。
呼吸数・呼吸努力・肺雑音・SPO₂を素早く測定しましょう。
意識の有無にかかわらず呼吸を評価する
呼吸は、吸気により流入した空気と肺動脈を経由してきた静脈血を肺胞内で酸素と二酸化炭素を交換することです。
呼吸に異常があると患者さんは呼吸困難を訴えることもあります。
しかし意識レベルが低下していると呼吸困難の訴えができない可能性もあります。認知症の方の場合も十分な訴えができない可能性があります。
患者さんの自覚症状や訴えだけでなく観察の工程で必ず呼吸を評価しましょう。
『呼吸』の異常時の介入
呼吸の異常がある患者さんには直ちに介入を行いましょう。
介入が遅れると低酸素によって、多くの臓器(特に脳)ダメージを与えてしまいます。可能であれば酸素投与や体位の調整、重症が予想されれば気管内挿管やNPPVなども必要かもしれません。
プロは、観察評価を行いながら適切な酸素投与の方法を考え、また、挿管の介助や呼吸補助機器の取り扱いも頭に浮かべているものです。
介入が遅れないようにそういった対処についても、学んでおきましょう。
さて、次回は『循環』の評価をお伝えします!
急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。
状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。
また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。
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