緊急度判定「これはやばい!」をキャッチする!④~循環の評価 編~
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「何か変」「いつもとちがう」に気づくこと、観察したことを言葉にできること。
初期対応の基本は、学ぶことで習得できます。
緊急性の見極め方、そのコツについて皆で学ぶ『緊急度判定』シリーズ。
第4回は「循環の評価」についてお伝えします。
- 目次
「循環の評価」のポイント
循環の評価で大切なのは「ショックを早期に認識する」こと!!
先日お伝えした「気道」「呼吸」を評価しながら、同時進行で循環も評価していきます。
大切なのでもう一度言います。
循環の評価では、「ショック状態を早く認識すること」
これが重要です!
要するに、「心停止」に至らないように評価をしていくことです。
血圧が測定できるから、まだ大丈夫??
テキストにも
【院内の心停止に関して、その多くは心停止6~8時間前に何らかの異常(意識・呼吸・循環の異常など)が認められると言われている。】
とあるように、血圧が測定できるから大丈夫と思わないことが大切です。
測定値だけでなく、五感をフルに使い、全身の状態を把握しましょう。
代償機能が働いているうちに対応をすることがいのちを救います。
ショックに至る過程で、人間の身体は命を守るために、最初は代償機能が働きます。
その時間帯は、血圧の低下や、意識レベルの急激な悪化が見られることは少なく、患者自身の自覚もない場合もあります。
実際の評価方法
では、実際にどうやって評価すればいいのでしょうか?
もし、血圧計などの機械が手元にない場合、どうアセスメントすればよいでしょうか。
* 道端で、倒れている人を発見したら?
* 院内のトイレで倒れている人がいたら?
* 入浴介助中に意識を失った人がいたら?
その時には「診て・聞いて・触って・嗅いで」のように、五感を使って調べます。
五感を使って評価しよう
循環動態の場合は、
・頻脈
・末梢の皮膚の冷感・湿潤
・CRT(毛細血管再充満時間)の延長
が起きます。その変化を察知することがポイントとなります。
具体的には
体に触れながら…
顔面蒼白・冷汗・湿潤・冷感、チアノーゼの有無を確認
橈骨動脈に触れ…
脈拍の強さ・速さ、リズム不整の有無の確認
CRTのチェックを!
(爪床を5秒押し、色が戻るのに2秒以上かかる場合は循環不全と判断する)
頸動脈を触知できれば
収縮期血圧が60mmhg程度と推測できるが、頸動脈が触れなければ「心停止状態」と判断する。
器具を用いる事が出来れば
血圧測定、モニターを装置して心電図の波形を確認します。
「ショックの重症度」についても、覚えておきましょう。
「ショックの重症度」について
代償性ショック
組織への酸素供給が不十分な場合に、代償機能(頻拍、全身の血管抵抗の増加)が起こります。
それは、脳や心臓に通常の血流量を維持するためです。
この時、収縮期血圧が低下することは少なく、末梢の皮膚の冷感・湿潤、頻脈、呼吸促拍などが現れます。
ここからさらに、ショックが進行すると、意識の変調が出現することになります。
低血圧性ショック
代償機能が破綻して、収縮期血圧が90mmhg以下になる場合の状態です。
血圧の低下は、ショック状態の晩期にならないと出現しないため、心停止直前の状況であると認識しておきましょう。
最後に
今回は『循環』の評価について、ご説明いたしました。
循環の評価では「早期」での評価が重要となってきます。五感で感じる情報が、いのちを救う評価に繋がります。
いざという時を想定して、起こりうる状況ごとに評価ポイントを整理しておくようにしましょう。
次回の第5回は『意識』の評価についてお伝えします!ぜひご覧ください。
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