救急ケアのよもやま話②~Guideline編~
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救急ケアに関するよもやま話として「心肺蘇生のガイドライン」についてまとめました。
勉強からはちょっと一息おいて、お気軽にお読みください。
- 目次
心肺蘇生のガイドライン
国際蘇生連絡委員会 (ILCOR)が発表する
「心肺蘇生のコンセンサス」
「国際コンセンサス (International Consensus on Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Science With Treatment Recommendations , CoSTR: 心肺蘇生法の各国ガイドラインの基になるエビデンスを集約したもの)」
に基づき、AHA及びERCはそれぞれの地域性・保険制度・医療制度を勘案し5年ごとにそれぞれ「心肺蘇生のガイドライン」を発表しています。
AHAでは「G2000」{G2005}{G2010}「GG2015」「G2020」と発表されています。
このガイドラインに沿ってAHA圏内の教育用教材が発売されBLSコース、ACLSコースが開催されています。
AHAの心肺蘇生ガイドライン
AHAのガイドラインは原則米国諸国のものです。
しかし、Off-the-job trainingができることや最新のエビデンスに基づいていることから、日本でも教育の現場で広く用いられています。
他の組織としてに日本では、アジア地域をまとめてからなるJRC(日本蘇生協議会)ガイドラインも存在します。
しかし、お互いに蘇生手技の大原則に変わりはありません。
AHA心肺蘇生のガイドラインで強調されていること
AHAの30数年の研究やデータ収集から「G2020」で強調されていることは多くあります。
まず救命の連鎖です。
以前までは、
・早期発見
・早期通報
・質の高いCPR
・早期除細動
・心拍再開後の治療
の5つでした。
一方、最新のガイドラインでは、
・早期発見
・早期通報
・質の高いCPR
・早期除細動
・心拍再開後の治療
・リカバリー
と6つの連鎖になっています。
これには、チームダイナミックス・チーム連携が必要となります。
胸骨圧迫では、
①胸骨圧迫は成人に対し5cm以上6cmを超えない深さ
②1分間に100~120回のスピード
③胸骨の下半分を圧迫する
④圧迫した分だけ圧迫の力を介助する
⑤胸骨圧迫の中断を最小限にする
が重要な項目になっています。
これは胸骨圧迫中のCPP(Coronary perfusion pressure:冠動脈潅流圧)を最大にする手技です。
さらに自己心拍再開(ROSC)を得るためには、胸骨圧迫の中断を最小限にとし心停止認識からの全CPRの中で胸骨圧迫を行う時間の割合(CCF:Chest Compression Fraction)を60%以上にすることが求められます。
訓練されている蘇生チームでは、CCFは80%を目指すとされています。
AHAガイドラインに準拠した講習会
現在日本にはAHAと正式な契約を結んだITCが9つあります。
その最大規模を占めているのは「日本ACLS協会」です。
これらの協会が行う講習会では、学習、実技、試験で構成され合格するとAHAからProvider資格が得られます。
Providerは学習を積み十分な心肺蘇生ができることを意味します。
講習会には、小児を対象にしたコースやACLSの上級編など多く設定されています。
Providerの認定期間は2年。
ガイドラインの更新は5年。
機会があれば深く心肺蘇生を学ぶのもいいかもしれません。
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