呼吸療法のキホンのキ
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低酸素の早期発見と早期対応
生命を脅かす低酸素
血液中の酸素分圧が低下すると、低酸素状態となります。
低酸素状態の要因となるのは次の4つです。
- 換気血流比ミスマッチ→細菌性肺炎により起こる
- 肺内シャント→無気肺や肺水腫により起こる
- 拡散障害→間質性肺炎により起こる
- 肺胞低換気
低酸素の評価
酸素投与だけでは改善が見られない場合もあり、医師とともに
- 原因疾患への加療
- 酸素療法
を行っていく必要があります。
低酸素が疑われた場合、フィジカルアセスメントのA,Bで気道と呼吸の評価をしっかりと行い、必要であれば酸素の投与を考慮します。
もちろん血液ガス計測は必要ですが、低酸素の原因を検索するためには画像診断が有効です。
判断が遅くなると、低酸素は全身の臓器にダメージを与え、低酸素脳症など危機的な状態となるため、早期発見と早期対応が重要です。
呼吸療法の看護
酸素投与
酸素投与の方法
病院内であれば、酸素の投与まではさほど時間はかかりません。低酸素を疑えば医師と相談し酸素投与を行いましょう。
通常は、酸素カニューレ →酸素マスク →リザーバー付き酸素マスクの順に投与できる酸素濃度は高くなります。患者さんの酸素飽和度と基礎疾患から、酸素飽和度の目標値を確認し流量を調整しましょう。
たとえば、
- ACS(急性冠症候群)の患者さんに対しての酸素飽和度
→90%以上
- 脳卒中の患者さんに対しての酸素飽和度
→96%以上
など、目標値がAHAのガイドラインに示されています。酸素投与にうまく反応しない患者さんも存在します。酸素療法を行う際は酸素デバイスの確認が大切です。デバイスのサイズや作動は適正か、酸素流量に準じているかなどをチェックしましょう。長期の装着は皮膚に医学的褥瘡を作る可能性があるため、十分なケアが必要です。
投与の際の加湿について
病院の中央配管からの酸素や医療用ボンベの酸素の湿度は0です。
気道(鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、気管)の機能が正常で低流量である場合、必ずしも酸素の加湿は必要ありません。ただ、気道に懸念がある場合や高流量の酸素を投与する場合は加湿を行いましょう。通常、健常な人の肺胞内吸気ガスは37.0℃で湿度100%です。
ケア
病態にもよりますが、
- 排痰のための体位ドレナージ
- 気管内の吸引
- 口腔ケア
も必須の援助になります。
患者さんが自身で行えるのなら促し、自力でできないのであればケアを行います。施設の基準やST( 言語聴覚士:Speech-Language-Hearing Therapist)の協力を得るのもよいでしょう。
観察として呼吸数と心拍数を見ましょう。
正常時は、心拍数がおおよそ呼吸数×5になります。呼吸数×5のほうが心拍数を大きく超える場合は、肺機能の問題が強く疑われます。
急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。
状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。
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もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。