低血糖の危険性

2024年5月15日 ライブラリー

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低血糖は、なぜ起こるの?

前回は、糖尿病がなぜ怖い病気なのかと、高血糖を放置すると命の危機に至りうることをお伝えしました。

▼前回ブログ
糖尿病は急な高血糖に注意

今回は、低血糖のお話です。

低血糖の仕組み

低血糖について説明するには、まず元となる「糖分」の働きを理解しておきましょう。

さて、血液中の糖分はどんな役割があるか、説明できますか?

血液中の「ブドウ糖」は、血液によって全身に運ばれ、体を構成する細胞のエネルギー源として重要な働きがあります。特に、脳細胞のエネルギー源としての役割は生体内においては重要です。もし、ブドウ糖が不足した場合、意識を失い、そして全身の細胞・臓器の動きが停止し、命の危機に繋がります。

原因

「低血糖」になる原因としては、糖尿病の薬によるものが最も多くを占めます。特にインスリンやスルホニル尿素(SU)薬を使用中の患者さんは、最大限の注意を払う必要があります。
それ以外の原因としては、

  • 他の種類の薬
  • 深刻な病態や臓器不全
  • 炭水化物に対する反応
  • 膵臓のインスリン産生腫瘍

などが挙げられます。

さらに、低血糖を起こすリスク因子としては、次の要素が考えられます。

  • アルコールの多飲
  • 高齢
  • 認知機能低下
  • 腎機能低下
  • 肝機能低下

これらを有する患者さんに対しては、低血糖にならないよう血糖管理に使用する薬剤により厳しく注意を払う必要があります。

重症低血糖に注意

このように命の危機に繋がる低血糖の中でも、特に「重症低血糖」の状態は命の危機に直結します。この重症低血糖は自力での改善が不可能となるため、ブドウ糖静注などの医学的な介入を要します。自宅でブドウ糖を摂取する方法では、助からない可能性が高い状態です。

しかし、低血糖を繰り返している患者さんの中には、最初の反応である「警告症状:動悸・振戦・発汗」が出ずに、無自覚低血糖の状態で過ごしている人もいるため、突然、意識を失う場合もあり注意が必要です。

また、重症低血糖時には交感神経系がより活性化し、著明な血圧上昇、低カリウム血症、QT延長などが併存して起こっている場合が多くあります。その結果、致死性不整脈や心血管疾患の発症につながると言われています。

血糖値の異常に気付く、症状の特徴を知ろう

血糖値と代表的な症状

一般的な低血糖は、“血糖値 <70mg/dL ”と定義されています。
この値以下となると、人間の身体は血糖値を上げるために交感神経を活性化させます。その結果、低血糖の患者さんの症状には、動悸・振戦・発汗という、「警告症状」が見られます。(ただし、普段から血糖値が300~400mg/dLと高い患者さんの中には、血糖値が100mg/dL程度の正常レベルであっても同様の症状が出ることもあるため、注意が必要です)

血糖値と代表的な低血糖症状
  • 60~70mg/dL以下
    脈が速くなる、冷や汗、手が震える、イライラする
    警告症状
  • 40~50mg/dL以下
    集中力の低下、眠気、あくび、無気力
    中枢神経症状
  • 20~30mg/dL以下
    異常行動、麻痺、痙攣、昏睡
    中枢神経症状

血糖コントロールは厳格にしすぎず、基本的な治療目標としてはHbA1c 7.0%未満とされています。

患者への伝え方

また、糖尿病治療中の方で、インスリンを使用している、スルホニル尿素(SU)薬を使用中の方には、低血糖を防ぐために教育が特に重要となります。
たとえば、

①動悸・振戦・発汗という低血糖の警告症状が出たとき
⇒すぐにブドウ糖やブドウ糖入りの飲料を摂取する

②血糖値が測れない状況で低血糖を疑ったとき
⇒血糖値がわからなくても、ブドウ糖を摂取することを優先する

③食事を抜くとき
⇒食直前の超速攻型インスリン注射もスキップする

④低血糖症状の「はひふへほ」を伝える
低血糖の時によく見られる症状を患者さんに分かりやすく伝えることができます。

低血糖症状の「はひふへほ」
  • は:腹が減り
  • ひ:冷汗が出て
  • ふ:ふるえがあり
  • へ:変にどきどきして
  • ほ:放置すると意識を失う

医療者自身も、本人の自覚症状だけでなく、客観的に観察して、その症状が起こる前の生活状況を把握し、現在の状態をアセスメントすることが大切となります。

観察項目
  • 食事量
  • 食事をした時間
  • 食事内容
  • インスリンの使用
  • 内服状況
  • 下痢や嘔吐
  • 発熱の有無など

 

 


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状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。

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