この人の意識レベルはどう評価すればよい?~認知症~

2024年1月31日 ライブラリー

記事執筆:

”意識レベルの評価”にフォーカスを当てた「この人の意識レベルはどう評価すればよい?」シリーズ。第2講目は、認知症の意識評価をテーマにお伝えします。

目次

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意識レベル清明でない、この人の意識はどんな状態?

認知症とは

さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。

「加齢」と「認知症」によるもの忘れの違い(一例)
「加齢」による物忘れ 「認知症」による物忘れ
体験した事 一部を忘れる
例)朝ご飯のメニュー
すべてを忘れる
例)朝ご飯を食べて事自体
物忘れの自覚 ある なし
生活への支障 なし ある
症状の進行 極めて徐々に進行 進行する

認知症の主な原因

アルツハイマー型認知症とは

認知症の原因としては最も多いといわれており、長い年月をかけて脳に、アミロイドβ、リン酸化タウというタンパク質がたまり認知症をきたすと考えられています。
記憶障害(もの忘れ)から始まることが多いですが、失語(音として聞こえていても話がわかりにくい、物の名前がわかないなど)や、失認(視力は問題ないのに目で見えた情報を形として把握し難い)、失行(手足の動きは問題ないのに、今までできていた動作を行えない)などが目立つこともあります。

血管性認知症

脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって、一部の神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり認知症をきたすものをいいます。脳血管障害を起こした場所により症状は異なりますが、まひなどの体の症状を伴うことが少なくありません。

レビー小体型認知症

脳にαシヌクレインというタンパク質がたまり、認知症をきたすと考えられています。記憶障害などの認知機能障害が変動しやすいことのほか、ありありとした幻視(実際にはないものが見える)や転びやすい、歩きにくいなどのパーキンソン症状、睡眠中に夢をみて叫んだりするなどの症状を伴うことがあります。どの症状が先に出てくるかはそれぞれです。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉と側頭葉が病気の中心として進行していき、同じ行動パターンを繰り返したり、周囲の刺激に反応してしまうなどの行動の変化が目立つ「行動障害型」と言葉の障害が目立つ「言語障害型」があります。

認知症の意識レベル評価には原因のアセスメントが重要

認知症は、急激に症状が悪化する事はありません。
攻撃的な行動が見られる場合は、認知症の症状が悪化しているのではなく、それ以外の要因で意識の混乱が出ている可能性が高いのです。その原因は何かをアセスメントする事が重要となります。

次回は、「せん妄」についてのお話です。

 

 


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状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格です。

また、病院だけでなく地域医療に携わる医療スタッフの方にも、在宅時から基幹病院へ【命のバトンをなめらかに】つなぐために実践できるノウハウを習得できます。

もしもの時の対処に自信がない方や、急変対応をもっと深く学びたい方は、ぜひ受験をご検討ください。

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